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NPOの年収・給料実態|データと最新トレンドから見るキャリアの可能性

「NPOをはじめとする非営利組織は給料が安い」というイメージを持つ方はいらっしゃるのではないでしょうか。NPO法人や公益財団、社会福祉法人など、非営利組織の給与水準は確かに一般企業と比較すると平均的に低めですが、近年では状況が変化してきています。

本記事では、特に2023 年度(令和5年度) 特定非営利活動法人に関する実態調査(以下、2023年度実態調査)や 第4回 NPO法人と人材のマッチングに関する調査(以下、第4回マッチング調査)のデータから見える非営利組織における給与の実態と、新しい求人トレンドについてご紹介します。

NPOの基本的な給与水準

第4回マッチング調査によると、2015年の常勤職員の平均給与額と比べて増加傾向にあることが明確に示されています。具体的には、20万円未満までの割合が減少する一方、「25~30万円未満」が2.6ポイント(22.2%→24.8%)、「30~40万円未満」が4.0ポイント(8.3%→12.3%)、「40万円以上」が1.1ポイント(1.4%→2.5%)増加しており、給与面での雇用環境の改善が確認できます。ただし、民間企業の給与水準と比較すると、現時点では依然として低い状態にあります。

常勤職員の平均給与額比較

民間企業とNPOの人材交流

2023年度実態調査によると、NPOに転職してきた職員の前職は、会社員が31.3%と最も多く、次いでアルバイト/パート/派遣が19.7%、NPOなど団体職員が13.4%、主婦/主夫が9.0%、公務員が5.0%となっています。

特に注目すべきは、約3割が一般企業からの転職者だという点です。この背景について、2023年度実態調査では、採用時に重視される要素として「マーケティング、IT、営業、会計などの専門知識」や「プロジェクトマネジメント経験」が挙げられており、企業での実務経験が重要視されていることがわかります。

NPO転職の最新トレンド:広がる社会貢献型キャリアの可能性

最近では、従来の非営利組織の給与水準とは異なる、新しい待遇の可能性も広がってきています。以下、具体的な事例をご紹介します。

事例① 
年収1000万円を超える非営利組織の求人実際に、当社プロビティ・グローバルサーチでも、年収1000万円を超える非営利組織の求人をご紹介しています。例えば、ある著名な公益財団法人では、法人事業統括、海外連携担当、プログラム企画責任者といったポジションを募集する年収上限が1200万の求人案件がございます。

事例② 
大手NPOなどでも、管理部門長候補としてポジションで民間企業で経理や人事などの経験やマネジメント経験がある方を求める例も出ています。年収は700‐800万円というレンジで求人を募集している組織もあります。

NPO給料水準向上の背景要因

2023年度実態調査によると、近年のNPOにおける給与水準の向上には、いくつかの要因が関係しています。まず、事業規模の拡大が挙げられます。1,000万円以上の事業規模を持つ法人が41.7%に達し、5,000万円以上の大規模法人も増加傾向にあります。

また、運営体制も変化しています。特に事業規模5,000万円以上の団体では74.5%が職員中心の運営体制へと移行しており、より専門性の高い人材の確保が必要となっています。

さらに、収入源の多様化も進んでおり、事業収益の確保や行政との連携強化、企業からの支援獲得など、様々な取り組みが行われています。

NPOの収入源と財務状況

2023年度実態調査調査によると、NPOの収入構造は多様化が進んでいます。会費収入が23.7%と最も高く、次いで行政からの委託・指定管理者業務が20.0%、行政からの助成金・補助金が19.1%となっています。また、利用者からの料金収入も14.5%を占め、事業収入の確保に向けた取り組みが進んでいることがわかります。

さらに近年では、新しい資金調達の手法も広がっています。例えば、READYFORが運営する「遺贈寄付サポートサービス」を通じた遺贈寄付も増加傾向にあります。このサービスでは、個人の想いを社会課題の解決に活かしたいという方と、NPO法人などの非営利組織とを結びつけ、新たな資金調達の可能性を広げています。このような寄付文化の醸成は、NPOの財務基盤の強化にも貢献しています。このように、会費や行政からの資金に加え、事業収入や新しい形の寄付など、収入源の多様化が着実に進んでいます。

NPO転職での収入面での工夫

NPOでは給与面を補完するための柔軟な制度設計も進んでいます。2023年度実態調査によると、41.0%の団体が副業・兼業を認めており、31.0%がフレックスタイム制度を導入しています。これにより、個人の生活スタイルに合わせた働き方や、複数の収入源の確保が可能になっています。

長期的なキャリア形成においては、専門性の構築が重要です。NPOでの経験を通じて得られるプロジェクトマネジメントスキルや、社会課題解決のノウハウは、今後のキャリアにおいて大きな価値となります。また、多様なステークホルダーとの協働経験も、重要なキャリアアセットとなります。

NPOで求められる人材像

2023年度実態調査によると、採用時に重視される要素としては、意欲や熱意が48.5%と最も高く、次いで活動分野に関する専門知識や経験が46.4%、組織の雰囲気との相性が40.4%となっています。団体の理念や活動内容への共感も34.8%と高い割合を示しています。

特筆すべきは、学歴(2.8%)や年齢(9.9%)はあまり重視されていない点です。これは、実践的なスキルと組織への適性を重視する採用傾向を表しています。

以下の記事で、「NPOに向いている人・向いていない人」という切り口で解説しておりますので、こちらも是非合わせてご覧ください。

社会問題を解決する仕事の求人とは?NPO・ソーシャルベンチャーなど転職事例付きで比較

NPOをはじめとした社会貢献型キャリアを考える際のポイント

社会貢献性の高い仕事を選択する際は、総合的な視点での検討が重要です。事業規模や運営体制、収入構造、働き方の柔軟性など、様々な要素を考慮する必要があります。特に事業規模の大きい団体では、民間企業に近い待遇を実現しているケースも増えてきていますが、団体によって状況は大きく異なります。

また、社会課題の解決を目指すキャリアは、必ずしもNPOに限られるわけではありません。近年では、企業のサステナビリティ部門やCSR部門、さらにはソーシャルベンチャーなど、様々な組織形態で社会貢献に携わる機会が増えています。重要なのは、自身の経験やスキルを最大限活かせる場所を見つけることです。NPOと民間企業、双方の選択肢を検討することで、より充実したキャリアを構築できる可能性が広がります。

社会貢献性の高い仕事への転職を考える際は、この分野に精通したキャリアアドバイザーに相談することをお勧めします。プロビティ・グローバルサーチでは、NPOに限らず、企業のサステナビリティ部門やソーシャルベンチャーなど、幅広い選択肢の中からあなたの経験とキャリアプランに最適な道を一緒に考えていきます。表面的な求人情報だけでなく、組織文化や実際の働き方、さらには転職後のキャリアパスまでを見据えたアドバイスを提供いたします。

監修者 高藤悠子

慶應義塾大学卒業後、メーカーでの海外営業を経て人材エージェントへ転職。人材紹介経験20年以上、国内外で社内トップの成績を連続して達成。コンサルティング業界やMBAホルダーに特化した紹介会社では外資系戦略コンサルティングファームや世界的IT企業、ベンチャー企業などへ若手からエグゼクティブレベルの人材を紹介。未経験・社内最年少ながら月間売上社内トップの成績を連続して達成する。

その後大手人材紹介会社、JACリクルートメントのタイ法人へ入社。執行役員として現地でスタートアップの段階から日系売上高第一位まで規模を拡大する事に貢献。述べ200名以上の海外就職、海外から日本への帰国の転職のサポートを行う。常に社内トップの成績を残す。2012年に日本へ帰国、プロビティ・グローバルサーチ株式会社を設立。若手優秀人材から年収数億円の世界的エグゼクティブなどヘッドハンティング・採用支援実績多数。


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